書くのって楽しいですよね(難しい編)ーライティングを「世界を創る」から考えてみる

書くのって楽しいですよね(難しい編)

書くのって楽しいですよね。

  • 読まれたらうれしい
  • クライアントに喜ばれる
  • 知識が増える

こんな楽しさがあるでしょう。

ですが、当メディアではもっと違う視点で書く楽しさについて考えようと思います。

あらかじめ断っておくと、筆者の思想が多分に含まれていることをご了承ください。

それでは、ライターの魅力を次の1文からスタートしようと思います。

ライター、書くことの魅力であり楽しみは「世界を創れること」。

目次

世界を創れる=存在を生み出す

世界を創れるとは、存在を生み出すことと同義と言ってもいいでしょう。

しかし、なぜライターは存在を生み出す存在なのか疑問に思いますよね。

論理の飛躍や極端な思想を疑う方もいるでしょう。

ですが、ライティングを別の側面から見ると、それをしっかりと認識できます。

なぜライターが存在を生み出せるのかを、

  • 言葉がないと世界は歪んでいる
  • 言語化しないと物事は顕在化できない

この2つの観点から考えていこうと思います。

言葉がないと世界は歪んでいる

「蛾って気持ち悪い」

そう感じる方は多いと思います。

一方、蝶であれば見ても何も感じないのではないでしょうか。

ですが、なぜ蛾を気持ち悪いと思うのでしょう。

多少きれいじゃないとしても、羽根のついた虫であることには変わりないはずです。

ここで、日本以外の例で「蛾」と「蝶」について考えていきます。

フランスでは、「蛾」と「蝶」をまとめて「Papillon(パピヨン)」と呼ぶそうです。

つまり、カテゴリーでは「蛾」と「蝶」は一緒であることが分かります。

「いやいや、一緒なわけないじゃん」

と私たち日本人は感じそうですが、文化や言語の違いがあると、認識も異なってくるんです。

フランス人も、蛾はきれいな蝶ではないと認識しています。

ただし、認識はできるけど、区別ができないんです。

身近な例として、赤ちゃんを挙げようと思います。

赤ちゃんは見たもの全てに興味を持ち、何でも試そうとしますよね。

そのなかで親や周りから言葉や違いを教えてもらい、触れたものが何かを判別していきます。

  • 刃物は危ない
  • トラは凶暴だ、
  • チョコはおいしい

このような具合に、言葉と反応をリンクさせていきます。

ここで、物事と言葉のリンクが変わったときを考えてみましょう。

トラはかわいい生物だとリンクすれば、仮にその赤ちゃんがトラに囲まれたとしても、恐怖を感じることはなく、

むしろ、うれしいと感じるかもしれません。

蛾と赤ちゃんの例から分かるように、私たちの世界は言葉によって認識が変化します。

また、言葉と反応がリンクしないと世界は歪み、“常識”と感じられる当たり前もその前では無力になるんです。

言語化しないと物事は顕在化できない

「今日未明、〇〇市の住宅街で火災が発生しました」

夕方のニュースでよく聞く内容ですよね。

もし、このニュースを観なかったらという観点で世界を考えていきましょう。

事実として、〇〇市で火事が起こっています。

しかし、自分自身がそのニュースを観なければ、“自分にとってその事実がないのと同じ”ではありませんか。

当たり前のようで、重要なことだと私は思います。

私たちは、言葉(情報)を介してその事実を見聞きしない限り、世界を顕在化できません。

つまり、書く(発言も同様)プロセスを行わないと、人は眼の前の現象でさえ説明できないんです。

授業で習った歴史は、まさにその典型でしょう。

私たちは昔の様子を実際に見たわけではないのに、歴史を学んだことでその世界を想像できます。

そして、きっとそんな世界が事実として存在したと“錯覚”しているんです。

ここで、認識についてまとめようと思います。

私たちは、言葉を見聞きし、世界やその事実を認識していました。

そして、言葉がないと世界を認識できません。

逆の視点で考えてみましょう。

ライターが言葉を作り、世界を創ります。

そして、その世界を言葉として読者が読み、認識しているんです。

難しい考え方かもしれませんが、こう捉えられると、ライティングがもっと楽しくなるはずです。

ライターだからこそ世界を創れる

先ほどまでで、言語によって世界が成り立っているのが分かったと思います。

「別に、ライターじゃなくても世界を創れるんじゃない」

話に納得したとしても、上記のような疑問が浮かぶのではないでしょうか。

ここでは、ライターじゃないと世界を創れない理由について解説していきます。

ライターは世界を創るために取材をする

ライターが行う取材では、ただ声を拾って文字に起こすわけではなく、その過程で秩序を作っています。

ここでいう取材とは、インタビューだけでなく、リサーチや書籍の読み込みなども該当します。

無数にある情報をパズルのようにつなぎ合わせ、その世界が成立するように整えるんです。

例えば、東京から大阪まで最短で2時間30分でいけますよね。

本当に2時間30分でいけたとしても、それだけを伝えられたらどう思いますか?

現在では当たり前のように感じるかもしれません。

おそらくですが、新幹線ができた当時は、事実だけを伝えられてもよく分からなかったと思います。

だから、ライターが取材をして、パズルのように情報をつなぎ合わせ秩序を作ることで、2時間30分で行けるという事実が存在できるようになったんです。

取材しないと想いを言語化できない

想いの観点からライターの役割を考えていきます。

筆者がインタビューをして感じるのは、深くその人の話を聞かないと本当の想いは出てこないことです。

そして、その想いは人によって差があります。

単純にお金のためもあれば、本気で世界を良くしようとしている人もいました。

しかし、その想いもライターの取材なしでは伝わりません。

仮に、ライターの取材なく、その人が一方的に発信し続けていたとしましょう。

一方的な発信の場合、秩序が崩れ、世界との接点がなくなります。

新幹線を例にすると、設計図や仕様書の内容をそのまま公開するだけでは、だめだということです。

設計図に書かれている言語が共有されていないので、私たちは認識できません。

イメージは、難解な数式が書かれた黒板でしょうか。

難解な数式は、分かる人には分かりますが、おそらく大半の人がさっぱりって感じですよね。

さっぱりなのは、世界がそれぞれに存在しているからです。

数式が分からないのも、そのルールや法則を共有されていないからであって、私たちが決して頭が悪いからではありません。

しかし、その世界にあるルールを一方的に発信されるだけでは、発信者はそこに留まり続けます。

つまり、発信者にとっては明確でも、読み手側にとっては言語が共有されなければ、まったく別の世界に感じられるということです。

その場合、私たちはその世界のルールを覚え、自分から歩み寄っていくしかありません。

新幹線の設計図であれば、記載される表記や見方を覚え、認識できるようにします。

しかし、これではせっかくの良い技術も理解されず、広がっていきません。

だから、ライターが登場し、世界と世界の橋渡しをします。

例えば、「新幹線は高出力なエンジンを高い電圧で動かしているから、とても速い」と説明されればどうでしょうか。

細かい部分は分からないけど、早いことに納得ができますよね。

このように、それぞれに存在している世界の秩序のバランスを取り、整える役割を果たせるのが、ライターなんです。

そして、ライターが橋渡しをした瞬間、その人の想いが整った秩序のなかで顕在化されます。

この考え方は、世界の宗教や教養にも当てはまります。

教典は一つだとしても、それぞれが自分なりの解釈を持ち、時代によって捉え方は変化してきました。

そして、その時代ごとに認識を共有する“教える人”が存在してきました。

まさしく、その“教える人”がライターとしての役割を果たし、後世に続くよう橋渡しをしているんです。

書くのって楽しいですよね(難しい編)まとめ

ライターは世界を創っているという観点で、楽しさについて考察してきました。

こう考えると、ライターはただ文章を書く人ではなく、できることがたくさんあるのと分かりますよね。

また、これまで話したことは、言語をメインで扱う人にしか分からない感覚もあると思っています。

ですが、少しでも共感してくれたらうれしいと思いますし、そうであってほしいと強く願っています。

あなたがこの記事を読んだプロセスこそ、私とあなたの世界に橋が渡った証拠です。

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この記事を書いた人

23歳・歴3年のフリーライター。webから取材記事まで幅広く手掛ける。大事にしているのは「真摯さ」。特に教育において、その重要性を感じている。ライターの必要性を高め、新たな市場を創るべく「Integrity Writing」を立ち上げ、運営している。

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